勤務医時代に知っておくべき「歯科医院開業への道」

研修終了後、5年で開業した現役院長による「誰も教えてくれない歯科医院開業」のアイデアとヒント。

⑩何故、新患は来院するのか ー初診と問診票ー

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初診の患者さんは、前の医院を辞めて先生方の医院に来た方です。問診票に、当院を選んだ理由を選択肢や明記出来る様にしましょう。問診票にひっそりと、「前医が嫌になった理由があればご記入ください」と項目があると実に4割位の患者さんは記入します。明確に通いたくない理由を持っている方も多くいらっしゃいます。その方が、絶対にやってほしくないことを、やらない自信があれば約束しましょう。きっと安心してくれる筈です。不信感になる直接的な理由も分かったり、自院でも出来兼ねる事項もその時点で知れます。

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「後医は、名医」という言葉が存在しますが、かかりつけ歯科医になり続ける第一歩と理解する事が重要です。つまり、表立った主訴と、潜在的な転院理由を含んだ主訴を引き出すのが第一といえます。

 

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しかし、不定愁訴やセオリー的には出来ない診療ご希望であったり、クレーマー気質の方もいます。曖昧にお答えすべきところは曖昧に、前医に非がなかったり悪気がないと判断した場合は決して卑下せずに、「前医の肩を持つ」ような態度で接しておくといいです。通院しても叶えられない要求であれば、無理に自院で治療する必要もありません。初診の費用もいただかず診ない方が後々苦労しないケースも多々ありますので要注意です。「触らぬ神に祟りなし」とも言えます。高次医療機関を紹介するのもありです。応召の義務は応えて、出来ない事は出来ないと事前に説明しておくことがその後のトラブルを回避する最も良い選択となります。

 

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人は、断定的な言葉を求めています。断定的に言える事は言いましょう。しかし、断定的に言えないからと言って、曖昧な態度はよくありません。ここで信頼できるかどうかを計っています。結婚や転勤での引越しなどでは、嫌に感じた理由はないかもしれません。しかし、通院し続ける理由も無かった筈です。

 

初診の患者さん達の多くは「この医院の先生であれば、今までよりも良い歯科治療をしてくれるかもしれない」と期待をしているかもしれません。応えられる期待であれば満点で応えてあげられる能力が必要です。それが出来れば、かかりつけ歯科医にランクアップできるチャンスです。

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近隣の名実共にある先生の医院からの当院への転院は皆無です。優秀な医院にかかりつけの患者さんは、その先生にずっと診てもらいたいと信頼しているのだと思います。同じ街の歯科医院の場合、同じ所から同じような理由で転院してくる場合が多いです。

 

理由もなく、初診で来院する患者さんはいません。主訴だけではなく、そこにも着目してみるとより多くの情報が初診で分かります。主訴解決は当然。当院のコンセプトの1つが「初診で感動」です。他を卑下するのではなく、他との差別化を明確に提示します。現在は、特に、説明不足が原因で転院する方が増えています。診断するにしても、何をどう診断したのかまで伝えるべきです。

 

処置すべき本数が増えて治療回数が増えるのを「嫌だし面倒くさいなあ」と思われるような初診ではいけません。「診断が上手な先生が、処置すべき歯を見つけてくれた!この先生なら通えそうな気がする!」と感じてもらえるような伝え方をしましょう。勿論実際に、やらなくてもいようなオーバートリートメントはするべきではありません。予知性のある診療を、きちんとまとめた意見として伝えれば患者さんは喜んでくれる事が多いと思います。

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そして、今まで診させていただいてきた患者さんの評価は物凄く重要です。評価を拡散してくださいます。口コミこそ最高の広告です。最近では、ネット上での評価も重要になってきています。その点についても後日お伝えしていこうと思います。

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先日も、岡山の歯科医師が逮捕というネガティブなニュースがありましたが、勝手に削られたり、いつのまにか銀歯にされたり、突然麻酔をされたりすること自体が間違っています。戦後、民主主義教育を受けた我々世代としては提示し、提案し、許可もしくは選択していただいた上で診療を進めるべきです。自己完結型の診療を続ける程、患者さんは転院していきます。

 

新米時代私は、一生懸命やっても麻酔を打たれた、歯を抜かれたといわれる仕事と言われるのは辛いなぁと落胆していました。それは、私が感謝されるような仕事が出来ていなかっただけだとすぐに気がつきました。患者さんご自身が、麻酔をしてもらいたい、悪い根なら早く抜いてもらいたいと思う事自体が重要なのだと思います。

 

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✅5大ヤブ歯医者原則をご存知でしょうか?

①麻酔が痛い ②勝手に歯を削られた ③いつのまにか神経を取られた ④知らずに抜歯された ⑤説明がない


次に、⑥予約が取れない ⑦待たされる ⑧清潔感がない 不満ポイントは沢山出てきます。クレームをチャンスと考え、なるべくそうならないシステム構築と事前説明が出来るようにマネジメントしましょう。実際にクレームになった際や不満に思わせてしまいそうな際に、解決又は最大限の責任を取れるか、尻拭いが出来るかが重要です。言葉と頭を下げた謝罪だけで済むか。それ以上の手間やコストがかかるフォローまで執り行えるかも肝心です。掲示板などでの、低評価・悪質な書き込みも横行してたりもするようなので気をつけたいポイントです。

 

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「してあげている」ような傲慢さが出てくる時にこそ、「させていただいている」と考えましょう。「実れば実るほど頭を垂れる稲穂かな」。感謝してもらえなければ、意味がないのです。

 

 

傷が治癒するように歯科治療を治癒と思い込んでる患者さんも数多くいらっしゃいます。現実的には我々の仕事は、「修理とメンテのお手伝い」です。一生保つ治療をしたいとは常々思っては居ても、保険のCRは平均耐用年数2年です。前歯の5倍の咬合力が臼歯部にはかかり、バクテリアも数え切れない数が居ます。修復物や補綴物は、継ぎ接ぎでしかないので、どんなに上手な先生が治療しても必ずその境界が不適合になってくる事でしょう。半永久的に保つと思っている思考自体を変えられるようなコンサルをしてみると、患者さんご自身の前医の悪口や歯科医院不信も収まることがあります。

 

 

 

 

 

立川北デンタルオフィス院長 櫻田 博雅

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