勤務医時代に知っておくべき「歯科医院開業への道」

研修終了後、5年で開業した現役院長による「誰も教えてくれない歯科医院開業」のアイデアとヒント。

①⑦ 歯科医院開業のための立地条件と工事

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 モール開業でなければ、1階が最低条件です。当院は、駅前のコンコース直結なので「ほぼ一階」なのですが、一階には敵いません。安くても、上の階は辞めておきましょう。人通りがある場所。隠れ家は、確実に隠れます。

 

ユニットは後から増設出来ますが、キャパシティは変えられないので、自分の思い描くスタッフの人数と患者数を想定した上でテナントを決めましょう。なんとなく決める人も多いですが、熟考すべきです。代診を雇い続ける能力がないのに、高い家賃をかけてユニット数を増やしても無意味です。

 

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歯科医院は、電気系統と水道のスペース確保の為に「床上げ」を基本的にします。機材以外の内装費で、そこが最も金額も嵩むところなので、移転などを後々検討しにくいので要注意です。更に、歯科材料メーカーではなかったり詳しくない内装屋さんだと、水道管が故障する事もあるようなので工事の前に念押しをして聞いておきましょう。

 

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内装屋さんも、水道屋さんも、基本的には自分ではやらず外注すると思います。歯科医院内装を手がけた経験がある業者が一番です。職人さん達も、ベテランさんや高額な業者はいい仕事をする可能性が高いですが、職歴の短く技術や熱量の乏しい職人さんが施工する事もあります。不満足な仕事を見つけたら、その都度どうやって欲しいのかを具体的に提案や指摘しましょう。この時に、冷たい飲み物や、お弁当の差し入れなどの一手間、心遣い一つで対応も変わります。妥協せずきちんとやってもらう為には、業者さんにも気持ちよく仕事をしてもらう配慮をしましょう。オリンピック前で、建築業界もプチバブルなので人手が足りていないので、ずさんな施工になる確率も高いので気をつけて交渉契約しましょう。

 

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壁紙の貼り方1つもいい加減な業者もあります。私も、下手な業者さんに依頼し何度も失敗しました。床下などは見えない場所ですから、もっと素人は分かりません。気を付けて施工してもらいましょう。

 

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都市部は歯医者が居ない場所はないですが、逆に言えば乱立してても、「潜在患者が居る」という意味で、人の流れがない場所では絶対にやめましょう。ライバルと患者を奪い合うのではありません。先生の医院にいらした患者さんを一生懸命診ている事が伝わればいいのです。患者さんも棲み分けで、選択しあってる時代の真っ最中です。診療圏の地域性も勿論重要ですが、それにばかり合わせていても、他の歯科医院も同コンセプトかもしれません。自院のコンセプトとターゲットを明確化する事が重要です。正直、治療レベルがかなり低くても経営安定している歯科医院もまだまだ沢山あると思います。

 

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ターミナル拠点駅で毎日多くの人が利用するビルだとしても、企業倒産や撤退、リストラなども起きてしまっては、その弊害を受けるかもしれません。新しいものがあるということは、古いものがあるという事です。永く歯科医院を維持していくには、その展望や経年変化をある程度は予測し、覚悟を決めないといけません。

 

 

私自は、開業地に笹塚駅付近を昔考えたことがありましたが、計画を辞め立川にした途端、Microsoft本社の移動などがあり、肝を冷やしました。ターゲット層のメインでもあった会社そのものがなくなる打撃だって考えられるのです。診療圏は、常に流動性があります。その変化にどう耐え凌げるかも考えておくべきでしょう。

 

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立川に決めた理由も色々あり、考え方のヒントになるかもしれないので記載しておきます。前述しましたが、駅から徒歩1分でコンコース直結で地上に降りずにアクセス出来る所が気に入りました。デパート3軒ともコンコース直結しており、審美治療や自費診療の潜在患者さんが期待できると考えました。中部デパートの建て直し予定、高級高層マンションが向かいに建築予定、IKEAららぽーと立川立飛が建築予定であった事を知り勝算を感じました。コストコ計画は潰れてしまったみたいでしたが、メガドンキが出来たり、ファミリー層がこれから東京都で更に新たに進出してくる予測と、働く人と住んでいる人の昼間人口のバランスの良さでこの街を選びました。

 

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中央線の利用者も多く、立川駅はターミナル駅です。中央線の隣は国立駅日野駅ですが、国立駅は特に歯科医院が多く、国立の患者さんはあまり来院されません。八王子の方も、八王子で通院している方が多いようです。日野駅付近の方は来院されます。青梅線五日市線多摩モノレール南武線の患者さんにとってはターミナル駅なので、かなり多くの患者さんが来院されています。

 

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ここで、渋谷駅の話を例にしましょう。渋谷の隣は、代官山・恵比寿・青山・池尻・松濤・富ヶ谷・原宿・表参道と無数に街があります。近隣が狭過ぎます。そして、ライバルも多いので集患の為の広告費にも莫大なコストがかかるでしょう。大都心部は、メリットも沢山ありますが、こういった難点もあります。

 

 

立川駅南口には、歯科医院が乱立していますが、当院のある北口は大手銀行や証券会社、デパートや家電量販店、チェーン店の外食産業ばかりなので、「他の良い条件のテナントが空かない」と思ったのも決め手となりました。

 

 

平成初期までは、都心にばかり一部上場企業本社があり、人と人は会わないと仕事が出来ませんでした。パソコンも会社にしかありませんでした。携帯電話が普及し、メール、ノートパソコン、スマホタブレットと電子機器の進化と共に、チャットやライブ配信やテレビ電話などの利用や、ノマド化し会社に行かなければならない理由も激減し、東京5大都市ではなくても便利に生活も出来るように変化しました。ネットショッピングの利便性も高く、宅配ボックスも当たり前になってきました。大都心部だけに人口集中する訳でもなくなってくると思います。

 

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10年一昔と言いますが、5年一昔位のペースで進んでいると実感しています。同じ様に、街やビルにも多様性が出てくると思うので、よく考えて着手した方が良さそうです。撤退する場合の計画すらも考えておくといいと思います。天王洲アイルのように寂れてしまうかもしれません。

 

 

整骨院のように、ベッドと受付さえあればすぐにどこにでも移転できる様な業態であればいいんですが、床上げ内装にしたりユニット設営や個室化などをする歯科医院にとっては安易に移転などは出来ません。だからこそ、慎重に選ぶべきだと思います。団地・マンション・大手企業や大手店舗や公団などの建築建設予定の下調べ、駅前や幹線道路や高速道路などの再開発情報収集、競合歯科医院の業績の度動向、診療圏内の人の動きなども把握しておきましょう。

 

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立川北デンタルオフィス院長 櫻田 博雅
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