勤務医時代に知っておくべき「歯科医院開業への道」

研修終了後、5年で開業した現役院長による「誰も教えてくれない歯科医院開業」のアイデアとヒント。

⑤②患者教育

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患者教育は、勿論説教ではいけません。その患者さんが知らなかった「現在過去未来の事実と予測」をお伝えしましょう。「予知性のある治療と計画」という言葉に初めて触れた時、歯科医師の責任の重さを感じたものでした。

 

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私は患者さんに、治療すべき歯が多い程、放置年数が多い程、出来る限り笑顔で、耳障りが良い優しいトーンで「そろそろ年貢の納め時だって、ご自身でも気づいてらっしゃいます??」と伝えています。大抵の方は、恥ずかしそうに「ええ、分かってます。お恥ずかしい、、、」と返してくださいます。「覚悟して来ました!もう先生に全部根こそぎお願いします!!」「いつも途中で通院できなくなってしまっているんで今回こそは全部治したいです」なんて返答もいただけるようになりました。こちらが「全部やりましょう」と押し付けるのではなく、現在過去を知らせた上で、患者さんご自身の口で通院しきる意気込みを言ってもらう事に価値があります。

 


「この際、全部治療して、予防歯科にシフトしてきませんか?♪」なんて言葉がストンと腑に落ちてもらえたら、不良補綴物は勿論、前医治療痕で「自分が再治療した方が確実にいい状態に出来る」と思った歯は、全部外して再治療を望んで下さいます。

 

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概ねの治療期間も伝えて「野◯病院的な歯科医院なら1年かかると思いますけど、僕はこの歯とこの歯を全力をもって、週一診療で半年程度で保存しようと思っています。抜歯や抜髄をすると治療期間も伸びますが、保存できると時短できます。頑張って通っていただけますか??歯医者と患者さんも出逢いだから、〇〇さんがヤル気になって通院してくれるのであれば本気で全部治しますよ。型取りや予後を診たい場合は週一ですけど、根の治療や衛生士の治療は週2回、3回取ってもアポイント空いてればいいです。どんどん通ってください。往診は出来ないから、自分の一週間の生活にうまく歯科医院を組み込んで下さい。片手間ではなく、生活に入れてください。歯磨きもそうです。たったの1日3回7ー8分。この時間生み出してください。」自分の意見に思いを乗せて伝えると、「お願いします」「頑張って通います」「きちんとやらなきゃだめですね。分かりました。」という返答が待っています。

 


「今すぐにやらなけばならない事」と「必要だが将来に向けて準備をした方がいい事」を分けてこちらが理解し、患者さんにも伝える事が重要です。

 

世の中の歯科医師では、何本インプラントを入れたかを自慢するような人も居れば、商売っ気もなく大臼歯のCRを保険で完璧に修復する人も居ます。善悪の感覚や治療計画は先生によって異なりますが、患者さんの生活に寄り添って考られる先生の方が「生涯かかりつけ歯科医」になれると思います。診療報酬だけではなく、信頼や評判・やり甲斐を得られる歯科医師であろうとする事が最も重要な事だと思います。

 

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通院の為のルールとお約束を伝える事も重要です。「一生懸命診させていただくので、遅刻・キャンセルだけはやめてください。出来れば五分前に来てもらって、歯磨きして待っててください。なるべくお待たせしないうように迅速に治療します」と先に言っておきます。これぞ患者教育の第一行程。丁寧な治療を受けるために時間と、プラコン向上する気持ちを育てましょう。

 

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持ち歩きの歯ブラシや職場にないなら、初診時に受付で早速買ってもらいます。「受付の〇〇さん、△△さん歯ブラシ持ち歩いてはないみたいだから買ってもらって歯科医院専用のあれ!」それで買ってもらえたらモチベも自然とあがります。歯ブラシ1本あげたっていいんです。「先生が歯ブラシくれた!」なんて事が通院のきっかけになるかもしれません。

 

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プラークコントロールレコードが悪化してるリコール患者などには「また昔の磨き方と質に戻ってきちゃいましたね。癖は気を抜くとすーぐ戻っちゃいます。なので、これを見つけて衛生士さんに指摘されにリコールは三か月ごとにきてください笑。我々がきちんと管理します♪」と笑いながら伝えます。

 

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プラコンが上手になることも重要ですが、サボってたり、結果を出せなくなってることを指摘するチャンスは、リコールにきてもらえないと出来ません。きちんと言葉に出すこと。マツコデラックスさんや有吉さんや坂上忍さんのように、愛情と思いがあれば少し厳しい言い回しであっても患者さんは受け止めてくださる事が多いです。伝え方は要注意です。

 


勿論、上手にメンテできてモチベーションも上がっている患者さんは沢山褒めましょう。モチベーションの火を絶やさない事が最も重要です。

 

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付加価値に対して支払うと理解する事で、患者さんは「お金を払う客の気分」ではなくなっていくのです。勿論、対価としての診療報酬をいただくのですが、そのコスト以上に真剣に患者さんと向き合い詳細まで診続ける事で、信頼を重ねていくものだと思います。代診の先生などを雇用する場合も、院長と同じレベルでやってもらえると伝わっていなければ、ハズレくじを引いたと思ってまた転院してしまうのです。

 

物売りだと思われるような診療ではなく、「知識・技術・予知性・材料技工コスト・手間・人手」などの付加価値にもコストがかかる事をある程度理解していただき、その全てに投資してもらう必要があります。そうではなければ、保険治療のように材料技工金属代が安く、早く数多く診る事が業績を上げる様になってしまいますし、本末転倒です。良い治療を実現するにはコストをかけてもらう自費診療しかないのです。我々の医院では、自費診療で得た報酬を、保険診療の患者さんにもスライド出来るような経営をしています。保険診療単体で見れば、大損する様な診療をしております。

 

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ただ、時間とコストと手間暇かけた診療をしたとしても、患者さん自体が「説明はどうでもいいからただ早く治して欲しい」と思っている場合もあります。患者教育しつつも、患者さんご自身が求めていない事の場合も残念ながらあります。

 

問診票には「痛みが無くても悪いところ全てを治療したい」という項目に⭕️をつけていて、常に無反応な患者さんがいました。「◯◯された」と言われない様に細心の注意をはらっていましたが、通院が途絶えたと思ったら半年後にアポ無しで突如来院し「やる必要を感じていないところを治療された事が納得いかない。今までの治療費全部返して欲しい」と言われてしまった事がありました。ラポール形成に気をつけていても一定数意思の疎通の取れない患者さんは残念ながらでてきてしまいます。弁護士に相談したとこそ、勿論毎回全ての説明をし、許可を得た上で診療しておりますので変換に必要はありませんが、意思の疎通が取れなかった方に悪評を立てられるリスクにもなりますので、やはり触らぬ神に祟りなしだと反省しました。

 

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立川北デンタルオフィス院長 櫻田 博雅

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