勤務医時代に知っておくべき「歯科医院開業への道」

研修終了後、5年で開業した現役院長による「誰も教えてくれない歯科医院開業」のアイデアとヒント。

⑥⑥「粋で優しい馬鹿でいろ」

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リスク回避の徹底は、有耶無耶にせず迅速な対応や準備に限ります。しかし小姑のようにキリキリしているとスタッフの気持ちは離れてしまいます。

 

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患者さんの前では、メスを「〇〇番ブレード」と呼ぶ。説明ではなく準備中や説明中での言葉選びはとても重要です。スタッフに伝達する時と、患者さんにアナウンスする時の言葉の選択ですら変えるべきと考えています。

スタッフには、電気メスは「GPします」といったり、抜歯は「エキスト準備してください」、縫合は「ナートします」などと言います。 

 

患者さんには、「削ります」とは言わない方がベターです。カリエス除去の時は、「まずまだ残ってるプラスチック(ないし銀歯)から順番に取り除いていきますねー」と言い、形成する時は「歯のデザインを整えていきます」などと言うと耳触りが良くなります。縫合は「開けたとこ丁寧に閉じていきますね」という方が耳触りが良いので緊張も解けやすくなります。血圧すら下がります。

 

要するに、この時「恐怖を煽る言葉」を選択しない事が重要です。

 

電メスを使いたい時に他のユニットで使用していたとしましょう。1台しかない機材などは他で使っていたり未滅菌だったりもしますね。その時スタッフさんが「〇〇いま使ってまーす」「まだ滅菌できてないです」なんて患者さんに聞こえる様には言わないデリカシーも欲しいところです。「じゃあ〇〇でいいや!」なんて言ったら「代用品で仕事される」気になります。その場合、患者さんには察されないように筆談やアイコンタクトやボディーランゲージで伝えてもらう事が望ましいと思います。

 

これでさらに、「不信感を煽る所作言動」を避ける事ができます。

 

器具を床に落としたりした際も、物音がしているのに無言ではデリカシーに欠けます。「失礼いたしました」の一言が重要です。他のスタッフに拾ってもらい、大袈裟に感謝を伝える事で起死回生しましょう。失敗は、最高の尻拭いで払拭しましょう。

 

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まな板の上の鯉になった患者さんは、音や声の情報ばかりに集中してしまうからです。虫歯を削る際も、「キーンと音はしますが麻酔がきちんと効いていれば痛みはないと思います。痛みが少しでもあれば我慢しないで左手を上げてサインを送ってください。痛みがなくなるようにまた麻酔をちょっと足します。」コントラで削る時も「先程の器具よりもこちらの方が響きます。回転数が下がるからなんですが、健康な部分を削らない配慮です。」と言えば辛さも半減します。

 

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処置中に、アシスタントを指導する際も「怒る人」にはならず「患者の為にスタッフを育成している歯科医師」と感じてもらわないと意味がありません。怒りたいから怒るのでは、患者さんの前でないところでやるべきですし、そのような未熟な人をアシスタントにしている歯科医師だと思われてしまいます。

 

「〇〇さん、そこにバキュームの先端を患者さんの歯茎に当たると痛いのね。きちんと歯列に沿わせて、バキュームの先端は歯牙にあたり切削片を洗い、切削熱を下げた水を吸うんだよ。だからポジションはそこではなく、ここになる(ここでポジションを直す)。こうすれば痛くないですかね?(患者さんに尋ねる)今度からここで吸引しようね。」

 

このように解説しながら改善していけば、患者さんにも信頼を失わず、アシスタント指導も傷付けず上達する事になります。スタッフがすぐに辞めてしまう医院の院長は、本当に「人の気持ちが分からない人」ばかりです。治療スキルや知識の勉強ばかりで、人を守り育てる気持ちが希薄だから「何故うちのスタッフは出来ない人ばかりしか来ないんだろう」と思っています。

 

しかし、院長自身が真摯に向き合えば、1人、また1人とスタッフ自身が育ち中間管理職として機能してくれる日が確実に来ます。

 

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松本人志さんが「良い後輩は、良い顔する後輩や都合の良い後輩ではなく、その後輩が良い先輩になれた時」と深イイ話をしていましたが、良いスタッフというものも、良い先輩スタッフになってこそ本質的な機能をしてくださる戦力でありファミリーとなります。

 

ただ詭弁になるのではなく、リーダーシップとは何なのかを考え「優しく在る」事が重要なのだと痛感しています。卵が先か鶏が先かみたいな話でもありますが、言動を変え心を変えるのか、心を変え言動を変えるのかです。

 

人が離れて行く人の共通点は「自分の事ばかり考えている」事です。私は、人の事ばかり考えている人が成功しているなといつも感心しています。私にもエゴや怠慢がありますが、出来る限り粋で優しい漢でありたいと常々思っています。

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桑田佳祐さんの名曲「祭りのあと」で「野暮でいなたい人生を照れることなく語ろう 悪さしながら男なら粋で優しい馬鹿でいろ」という歌詞が沁み渡ります。

 

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大抵のスタッフは、女性。代診は自分より若い男性歯科医師。女の子と後輩には優しくしないといけませんよ。それは甘やかすとか、顔色を伺うとか、機嫌を取る事ではありません。上司として、先輩として、漢として、大きな懐と背中を見せるしかありません。そして、それこそが院長を育ててくれる大きな要素の一つです。勉強会で器が広がりますか?スタッフは、院長をよく見ているのです。

 

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立川北デンタルオフィス院長 櫻田 博雅

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シカシル執筆🖋 https://shikashiru.com/post/65.html