⑦⑥自費診療の支払いと同意書と署名
自費診療の支払い、当院では基本的にはセット日や、自費外科処置日に受付入金してもらいますが、色々なやり方もあります。
未来院対策で絶対に取り零しが無いようにしている医院では、受付や口座で入金確認してから技工を出しアポイントを取らないシステムの医院もあります。しかし、二度手間をお互いに取る面倒もあるので当院ではまだ導入しておりません。その場の雰囲気で自費を選択したのに家に帰り冷静になりお金が惜しくなり来なくなる方もいらっしゃるのが悲しい現実です。長時間捻出したオペ時間をキャンセルされる事もしばしば。
そこで、「自費診療同意書」と「外科診療同意書」を製作導入してから遅滞なくなりました。さらに、前述もしましたが問診票の最後にも署名をしてもらっています。署名をする事で、心理的にも約束を守ろうとしてくださる心理になります。患者さんにとって、次回いくら支払うと確定要素になるからだと思います。自費診療同意書は毎回製作すると嵩張るので、一枚の紙にその都度署名という方法を取っています。外科の場合は、時間も長くお取りするので、キャンセルポリシーで代償についても記載しているので、2時間キャンセルなどがないように配慮しています。
医院ではセラミックを希望して印象まで取ったのに、帰宅してからやっぱり保険でやりたいと言い出す人も稀にいます。当院では勿論、金属とセラミックの形成には違いがありますので、セラミックの印象で銀歯に技工変更などはしません。
コンサルして曖昧な決断だと感じた場合は無理にその話を進めません。単治までにしておいて「今日無理に決めて後から変更する訳にはいかないので、次回までに決断してもらっていいですか？決めてから型取りしましょう。」と言ってその日は決めない場合もあります。そもそもコンプライアンス的に問題がありそうな場合は「決まったら電話予約してください。2週間以内に決めた方がいいです。」とだけ伝えて、次回予約は取りません。患者さんのペースに合わせてあげた方がベターです。
「出来ない事は出来ないときちんと伝える」「予算が足りないからそれは出来ないが、プランBがある事を伝える」この２つは、一見ネガティブに伝わりそうですが、意外にも信頼度は上がります。歯に絹着せぬ正確な情報を教えてくれたと喜ぶ方も多くいらっしゃいます。
無理なコンサルでチェアサイドで決断させてしまうと、セット日に無断キャンセルする方も出てきてしまいます。技工料金だけ無駄にかかってしまうリスクがあるので気をつけましょう。損するのは院長です。こういった意味でも同意書に署名は効果的です。約束を破らないようする善意が患者さんにあれば、守ってもらえる可能性が上がります。
例えば自動車販売店が納車日にキャンセルされるようでは困りますよね。それと一緒です。決断をされた後は、印象して署名して技工まで出しているのでキャンセルは不可能ですと、キャンセルポリシーを記載してお伝えしておきましょう。
金属床の義歯セット日から4年来なかった患者さんが居ました。入院してたとの言い分でしたが、詳細を聴くと入院していたのは2週間でした。電話の一本もいただけず、こちらからの電話にも応対していただけなかったので料金を請求したら嫌な顔をされました。仕方がないので5万円割引して請求をしたら支払ってくださいましたが、このようにこちらの労力への敬意を表していただけない場合もあります。［※このケースは代診が当時担当していました］払わなくても済まないのかなーという空気を出しながら支払いをしてくださいました。
患者さんごとに、治療計画書と予算に応じた概算書を製作することも多いのですが、そのプレゼンをする際は、「自費診療を着工してしまっていたり、型取りさえしていなければ、いつでもこの自費に修復物や補綴物を保険に変更出来ます。反対に、銀歯で計画したものも、自費診療に変更できます。その時の経済的社会的背景が変化して、変更したいことがあれば早めにいつでも言ってください。基本的には、今回選択していただいたこの計画に則って進めていきます。ただ、自費診療のファイバーコアの土台と仮歯を入れて経過をみていく歯を後から保険適応の銀歯にしたいと言われても一度自費診療に移行した場合は被せ物も自費診療でお願い致します。」と伝えます。
予算が削減される場合も時折あります。100万円予算から70万円しか用意できなくなったと後から伝えられる事もあります。「別荘のメンテナンスにお金がかかる事になっちゃいまして」「結婚する事になりお金がかけられなくなりました」など患者さんの背景は流動していきます。落胆しても仕方ありません。常に寄り添った治療計画を再立案し、メインテナンスしやすく生活しやすい治療をするのが目的なので、ご希望にはフレキシブルに対応すべきでしょう。勿論、変更できない部分はきちんと伝えれば問題ないと思います。常に、PlanB、PlanCを考えておくといいでしょう。
クレジットカードでの支払いも多くなってきています。チェーン店の串カツ田中は、手数料をカード会社に負担する事はとても無駄だと考え都心以外の店舗では現金払いのみで対応しているそうです。
キャッシュレス決済は便利ですよね。Apple Watchやスマホ決済も増えてきましたが、少額を何度も毎日支払うコンビニエンスストアや、ブティックやホテルなどで大金を持ち歩かなくて済む決済には本当に便利です。さらに、お札の枚数を目で見ずに支払う分「払っている感覚がない」こともカード決済の利点欠点です。それに対してカード会社の利益が一方的に増えるので、私個人としては「第2の消費税」だと思っています。患者さんからお預かりした消費税を御国に納税するならまだしも、そのサービスの対価として3-5%の身銭を切るのはとても重いです。
だからといって患者負担額を増やすのも申し訳ないので基本的に現金払いをしていただく事が多いです。高額な自費診療を現金払いでしてくださる患者さんに、仮歯の料金をサービスしたり無料サンプルを沢山差し上げたりと代わりとなるサービスをしたりもしています。
善意は善意を生み出します。常に対応の良さを心掛けると結果的にWin-Win,Joy- Joyの関係になれます。小さな配慮の不足で、大きな信頼と期待を失う事もありますので細心の注意をもって接遇しましょう！
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