勤務医時代に知っておくべき「歯科医院開業への道」

研修終了後、5年で開業した現役院長による「誰も教えてくれない歯科医院開業」のアイデアとヒント。

⑦⑤保証期間についてちゃんと考えてみよう

f:id:Agenda03:20180724100321j:image

歯科医院には、不思議な事に保証期間をつける医院も多くあります。当院にも一応ありますが、「ナイトガードを毎日装着し、3カ月おきのメインテナンスにシフトした方で治療期間が開いていない患者さん限定」です。1年以内で壊れる事など基本的にはありませんが、もしそうであれば完全に保証はしています。2年で20%、3年で40%、4年で60%、5年で80%の値段を払って貰ってもらう設定にしています。そのルールがある上で、相手や状況によって保証の手厚さをフレキシブルに最適化しています。

 

f:id:Agenda03:20180818123448j:image
車は買った瞬間から中古車です。新古車なんて言葉もありますね。洋服も着た瞬間から古着です。メルセデスベンツを買っても、シュテルンやヤナセが保険会社をやってる訳ではないですよね。そもそも私は歯科に保証という考え方を組み込む事に、ずっと違和感を感じています。ブガッティやロールスロイスに乗って安全運転しても、交通事故は起きます。日本の交通法を守って運転するのは勿論、車検にも出さないといけません。例え、軽自動車でも同じです。

 

f:id:Agenda03:20180818125300j:image
では、AAE(米国歯内療法学会)のガイドラインでは、「HighDifficulty」で抜歯基準となる歯根があるとしましょう。根尖穿孔している歯根を努力して保存したとします。MTMで挺出して、CLやAPFの歯周外科手術をして、頑張って保存して補綴した歯根が4年後に破折した場合、我々は全額保証すべきなのでしょうか。もし、そうであれば、難しい症例を保証したくないから抜歯診断する事が当たり前になってしまうかもしれません。条件によって保証有無や程度を変える必要があります。

 

f:id:Agenda03:20180818125429j:image
簡単な症例ほど保証せずに済んで、難しい症例ほど保証しなければならなくなるのは、経営的には、医院にとってはただの「リスクと負担」です。ですから難症例の場合はコンサル時に、治療方法と利点欠点を説明しながら、どの程度の勝算かを伝え、保証出来ない場合もある事を理解してもらうようにしています。それ以来、ただこちら側が泣く泣く負担するような保証はなくなりました。

 

f:id:Agenda03:20180818125535j:image
糖尿病で重度慢性歯周炎の上ブラキサーでもある患者さんなどには、極力保証はせずに治療を行えるように事前説明して了承を得てから診療しています。特に自覚がなくモチベーションも上がらない方で治療途中で通院を断念してしまう方に保証期間などを与えてしまうとリスクにしかなりません。液状化現象のある土地を高い値段で買って、ビルを建てますか?それをしない事と同じです。多様性のあるニーズに、多様性のある受け答え方をするべきでしょう。勿論、歯周病管理と糖尿病が管理出来る様になってからは保証をつけてもいいと思います。交通事故が多い人が保険に入れなくなる様に、事故しない期間が増えれば保険料が安くなる様に、保証とは流動的で適正化すべきだと思っています。

 

f:id:Agenda03:20180818125748j:image
しかし、リスク説明をしたとしても、想定外に早く壊れてしまうものも少なからずあります。その為に、それ以降の対処となる自費治療のブリッジやインプラントなどにシフトしそうな患者さんの場合、先に抜歯しなければならなくなった場合のコンサルもしておく事をお勧めします。未来に対して、二段階、三段階の事前説明をしておくのです。

 

f:id:Agenda03:20180818130020j:image

「先生の言う通り壊れてしまったから仕方ない」と腑に落ちていただく事が重要です。不測の事態ではなく、もし上手く行かなかった場合にその後のブリッジやインプラントの費用を少額でもディスカウントしてあげる事も時折しています。「努力の末壊れてしまった」事を納得してもらうことが重要です。納得せずに、怒ったり責任追及してきそうな患者さんには積極的な最善策よりも、安全策を取る方が喜ばれるかもしれませんし無難だと思います。

 

f:id:Agenda03:20180818130116j:image
主治医の取れる「責任」を先に話しておくといいでしょう。大抵、喜んでくださいます。二回治療費を稼ぐのは多少気がひけますし、出来る限り患者さんに優しくありたいなと思っての対応策です。トラブルになる前に、自分の利益ばかりではなく、患者さんの為を思う気持ちを優先すると、実際に患者さんに喜んでもらえるようになります。闇雲に保証の線引きをせず、適材適所、先生が出来る提案でその方にあったものを一緒に選べる環境を作りましょう!

 

f:id:Agenda03:20180818130255j:image
責任を取るのと、保証をするのは、似て非なる事だと思います。責任であれば、是非取りましょう。ただ、無闇な保証は控えておいた方がいいでしょう。それを「売り」にしたい場合は、話は別ですが。基本的に、安さを売りにしても、安さを求める人が来患するだけです。

 

f:id:Agenda03:20180818130620j:image

チープなシステムにはチープな人が群がります。余談ですが父に、「貧乏人の財布は割引券とポイントカードでパンパン」と教わりました。私自身もポイントカードも割引券も持ってますが、必要最低限にしています。整理や取捨選択をしてなるべく軽量化最適化してます。

 

言わずともですが、私が尊敬している行田先生のように「20年以降の再治療介入を想定」して診療することが最重要です。保存し機能させることを大前提として診療はすべきだと肝に命じております。

 

f:id:Agenda03:20180818130520j:image

当院では難症例に対して「可能性にかけた投資」と考えていただけた場合のみ挑戦させていただいております。下手に保証を売りに目先の契約に目が眩むと、失敗や難航した場合自分の首を絞めることとなるのを忘れずに。

 

良かったらシェアお願いします!! 読者登録やいいねも宜しくお願いします🎵

立川北デンタルオフィス院長 櫻田 博雅

190–0012 東京都立川市曙町2–4−4 昭和ビル3階 0425958118 http://www.tkdo.jp/

➡️歯科医師求人https://www.guppy.jp/dds/174932

➡️歯科衛生士求人 https://www.guppy.jp/dh/162865

シカシル執筆🖋 https://shikashiru.com/post/65.html