勤務医時代に知っておくべき「歯科医院開業への道」

研修終了後、5年で開業した現役院長による「誰も教えてくれない歯科医院開業」のアイデアとヒント。

⑧⑤技工物ストップについて⚠️

印象を採ったものの技工を止めなければならない場面もあります。様々な場面について具体的にあげていきます。

 

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1️⃣患者さんがホワイトニングを希望した場合

シェードが変わりますからHRやセラミックの技工は発注を止めて、ホワイトニング後にシェードテイクし直してから技工を出す事をお勧めします。その際、保管場所を決めておきましょう。より丁寧に行いたい場合は、模型を破棄し、再印象採得し改めて技工発注をしましょう。

 

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2️⃣患者さんがその場で素材を決められない場合

🅰️印象自体を次回に先送りするパターンと、🅱️一度その場で「おそらくこの素材に決定するであろう素材の形成」で印象を採り模型を作っておくパターンに分かれます。🅰️にすると、再度麻酔をかけて形成するので通院回数と治療回数が1回増えますが、目的の形成が一度で済みます。仮封なしで単治にしておけばレジンセメントなどのコストは多少かかりますが、知覚過敏や歯髄炎を起こし抜髄のリスクを低減させられます。🅱️にすると、通院回数と治療回数は増えずに技工発注を出せる可能性がありますが、セラミックInの形成をしていたのにパラInに変更してしまった場合、再形成再印象を採る必要があります。そのままパラIn製作を出してしまう先生もいるかと思いますが、金属とセラミックは形成量も形態も異なるので再形成しましょう。メタル代の無駄にもなります。その患者さんの心理や性格を読み取りながら、どちらの方法にするかを考えると無駄が少なくなるでしょう。

 

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3️⃣保険証忘れで10割負担で診療をし、現住所などの確認が取れない場合

保険証忘れや持っていない方も時折います。免許証などで現住所を把握させていただけない場合、前金制か内金制をとってから技工発注をしないと未来院で泣き寝入りになるかもしれません。特に自費診療は未来院請求できませんから、気をつけましょう。

 

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4️⃣患者さんが施術後に金属アレルギーを心配してパッチテストを受けてから素材を選択したいと申し出た場合

実はつい最近ありました。治療翌日に衛生士が電話を受け、パッチテストを受けてから決めたいと申されたので、技工を止める予定でした。模型を技工物箱に入れずに横に避けておいただけだったので、その報告を知らない受付の方が翌日技工物箱に再度入れてしまい技工発注をしてしまったのです。1️⃣のように、保管場所を決めて間違えて技工発注しないようにしておくシステムを私が作っていないことが一番の原因でした。情報共有出来ず実際に選択されるか分からない技工物を先に製作してしまったのです。罪を憎んで人を憎まず。システムを変更し、保管場所を明確にし、電話を受けた方が責任を持って保管するか保管支持を出した場合は再度確認する制度に進化しました。そして、スタッフ全員参加のグループラインでの報告も義務化しました。大切なのは、罪を憎んで人を憎まず。システムが悪かったり足りない場合は、新たなアイデアでシステム化する必要があります。ここで、ただミスを責めたりスタッフに打開策を作らせるだけでは信頼関係まで減弱します。大切なのは責任者が責任を取る事です。

 

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5️⃣一度決めた素材を翌日などによく考えたら辞めたいと申し出てきた場合

そのために素材を選択し印象を採った会計時に、契約書にサインをしてもらっています。信頼関係があやしい場合は、前入金か内金をいただいておりますが当院は二度手間を減らす為に署名していただいております。が、稀に翌日技工を作る前に辞めたいと申された場合のみ技工を止めます。すでに製作段階であれば料金はいただきますが、製作前であれば泣く泣くキャンセルできるように余裕をもっております。これが、前金や内金をいただいていると返金の手間がかかるのでこのシステムにしています。

 

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6️⃣印象後に患歯が破折や歯髄炎などを起こした場合

形成や仮蓋や咬合の問題もあれば、患者さんが硬い物を食べてしまったり、仮蓋が外れて気付いていてもそのまま放置してしまって印象時と形状が変わってしまった事が発覚するなど、様々な不測の事態も起きえます。その場合は、再形成や再印象が必要となったり、再技工が必要となったりします。技工士さんと相談しながら、再製作をしていきましょう。

 

特に、患者さんが保険か自費かで深く迷い決め兼ねている場合は、🅰️その方が安心したり希望する事柄をより丁寧に説明する 🅱️決して今すぐ決めなければらない訳ではない旨を伝え猶予と心の余裕を与える ©️金額的な問題であれば、長期的に見たら安いと思えるかどうかを教えてあげたり、セラミックブリッジなどで高額な場合などは一先ず保険で仮着しておいてから資金調達出来次第自費診療に移行するプラン提示や、カード分割決済や、現金とカード決済分けて入金する方法などを提示してみることもお勧めします。突然の高額の必要に迫られるとキャッシュフローについてあまり考えてこられてない方は戸惑うこともしばしばあります。そこで、支払い方法を提案できたり、その患者さんが本質的にどうしたいのかを掌握すべきです。ここで、押して押して押売りしてしまう歯科医師は二流です。決して売ろうとせず、いかに希望を形に変えられるか、そうすることでお役立ち出来るかを考えて言動すべきです。